Tele-Interference Counterpoints (in Chiba)
上野悠河「まず、蛍光灯とはなんだったのか?」イベントレポート
2025.09.02
「まず、蛍光灯とは何だったのか?」ー蛍光灯にまつわる講義と対話ーが、2025年8月3日に千葉市美術館講座室にて開催されました。定員を超える申し込みが寄せられ、その関心の高さを実感できる場となりました。
上野氏が長年アート作品の素材として用いてきた蛍光灯。実はこの蛍光灯は、2027年をもって製造および輸出入が禁止されることをご存じでしょうか。私たちの暮らしの中でごく当たり前に存在してきた蛍光灯は、LED等に置き換わり、水銀を使用する光源としての歴史に幕を下ろそうとしています。


イベント前半では、上野氏による「蛍光灯」の講義が行われました。蛍光灯がどのような仕組みで光を生み出しているのか、その発展の歴史、そしてなぜ禁止されるのか。大学の講義さながらに資料を用いながら、「まず蛍光灯を理解する」という入り口から探求が始まりました。

後半は対話の時間に移り、雰囲気も和やかに。上野氏は蛍光灯に惹かれてきた自身の体験や記憶を語り、それをきっかけに参加者一人ひとりが「生活の中で消えていったもの」について意見を交わしました。

カセットデッキ、VHS、MDといった記録媒体を通じたコミュニケーションの思い出。街角の風景をつくっていた電話ボックスの記憶。ダイヤルを回す音と重ねて積んだ10円玉の記憶。ある参加者は「モノ」は消えても概念として残っている例を挙げました。PCの保存アイコンがフロッピーディスクであり続けること、電話マークがスマートフォンではなく古い受話器で描かれることなど。また蛍光灯そのものについても、「頻繁に交換をする」という行為が記憶と結びついているといった声も上がりました。




参加者同士の語らいは、懐かしさや共感、時に笑いを交えながら広がっていきました。改めて「なくなっていったもの」が意外なほど多く存在することに気づかされると同時に、それぞれがモノにまつわる豊かなエピソードを持っていることが印象的でした。技術や製品が移り変わるなかで、私たちはそれらを通じて行動や考え方を変え、また思い出を刻んできたのかもしれません。

この対話は、9月6日(土)に予定されている次回イベント「そして、蛍光灯は何になるのか?」ー蛍光灯と美術史の解説と実践ーへとも繋がり、さらに9月19日から始まる上野悠河氏の展示作品へと発展していくことでしょう。
次回のイベントは制作中の作品「Tele-Interference Counterpoints (in Chiba)」の展示会場で開催予定です。作品を稼働させてみたり、さまざまな器具を組み合わせて起こる現象を体感してみたり、作品の一部になってみたりと、展示とは異なったかたちで「作品」にアプローチしてみます。
1回目に参加してない方も楽しめますので奮ってご参加ください。

「そして、蛍光灯は何になるのか?」蛍光灯と美術史の解説と実践
日時:2025年9月6日(土)14:00〜16:00(開場:13:45)
会場:第一山崎ビル9F(千葉県千葉市中央区富士見2丁目9−28 第一山崎ビル)
JR・京成千葉駅徒歩7分
参加費:無料
対象:どなたでも参加可
定員:20名(先着順)
申し込みはこちらから
執筆:土肥武司(千葉国際芸術祭2025アートプロジェクトマネージャー )