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ちから、ちへ

アーティスト
宮本 はなえ

飲食店や大型電気店、商業モールが立ち並び、多くの人が行き交い、賑やかな千葉のまちなか。そんな郊外都市の喧騒に混ざって、多様な色・技法で彩られた「ち」型のふしぎなモニュメントが点在している。ごく当たり前の顔をしてまちなかに存在するそのモニュメントは、かつて駅前に息づいていたストリートアートの記憶にも重なる――。

美術大学で版画を学び、調理師や保育士、そして障害のある人の生活を支える生活支援員としても活動してきたアーティスト・宮本はなえは、本プロジェクトでこのような景色をつくることを目論んでいる。

千葉国際芸術祭2025のシンボルである「ち」の形をした10個のモニュメントは、呼びかけによって集まった千葉市内10箇所の障害福祉施設との協働を通して創作する。千葉市内には、障害のある人が通う生活介護事業所・就労支援事業所だけでも240箇所存在している。地域で暮らす障害のある人にとって欠かせない場所であるものの、その存在や活動を知る近隣住民はそこまで多くないのが実情だ。

宮本は本プロジェクトで10箇所の施設に通い、障害のある人(本プロジェクトにおいては「仲間」と呼ぶ)のやりたいこと、身体の動き、特性、関心に合わせた創作方法を一人ひとりに提案し、やりとりを重ねていく。つくるのは「ち」型モニュメントだが、その過程でのコミュニケーションや、本人や職員が気づかないようなささやかな「表現」を発見することも重要な点としている。

社会福祉における「障害の社会モデル」では、「障害」とは個人に帰属するものではなく、社会に存在するものだと定義されている。本プロジェクトは地域に点在する福祉施設をアーティストがたずね、そこに通う人と交流し、関係から生まれたものをまちなかへそっと解放していく試みだ。この活動を通し、千葉市内に存在する大小さまざまな「障害」を少しずつほぐしていくことを目指す。

【市民参加のかたち】ワークショップ参加/制作参加/展示鑑賞

スケジュール

・2025年5月26日〜6月20日 「ち」型モニュメント制作ワークショップ参加施設募集

・2025年6月〜7月 施設との事前打ち合わせ

・2025年7月1日〜8月31日 ワークショップ

・2025年9月19日〜11月24日 展示

・2025年12月 ふりかえり