街に巡る優しさ
アーティスト
チャン・ジエ(リビルド・ラボ)
千葉市内の公共空間を巡回する仮設の黒板を使い、市民との対話や関わりを生み出す参加型のインスタレーションを展開する。人々が自身の「うまくいかなかった出来事」を共有し、それを他者への励ましの言葉に変えることで、困難な状況にある人々に前向きなエネルギーを届けることを目指している。
直径5メートルの環状黒板は、手を取り合い肩を並べて立つ姿から着想を得た曲線的な形状をしており、サポートと団結の象徴でもある。展示期間中、市民はカラフルなチョークを使って黒板にメッセージや絵を描き、互いにあたたかい励ましの言葉を交わすことができる。
本プロジェクトは、現代の情報過多の時代において深刻化する社会的圧力やメンタルヘルスの問題に応答するものである。特にパンデミック以降、ソーシャルメディア上では他者の「輝かしい瞬間」が強調され、それとの比較が人々の不安感を引き起こす傾向が強まっている。そうした状況のなかで、本プロジェクトは公共空間において、あたたかく軽やかな方法で「大丈夫、あなたはすでに十分頑張っている。そのままでいこう」といったメッセージを、困難や批判に直面している人々に届けていく。
千葉国際芸術祭2025の「ソーシャルダイブ」に呼応し、本プロジェクトは市民とアートとの距離を縮めることを意図している。環状黒板は市民の創作を促し、その参加によって初めて完成する作品である。
【市民参加のかたち】制作参加/展示鑑賞
スケジュール
・2025年5月 製作工場との調整を開始し、同時に設置物の詳細設計を進行中。安全性の確保、移動や再利用のしやすさ、具体的な設置・解体方法、現地でのメンテナンス手順などを検討
・2025年6月 設計図面の作成を行い、中国の工場にてユニットのサンプル製作を依頼予定。併せて、サンプルの安全性および再利用性のテストを実施予定
・2025年7月 中国の工場にて本制作を完了予定。あわせて海運会社と連絡を取り、日本への輸送準備を行う(最遅でも8月初旬に到着予定)
・2025年8月〜11月 千葉市内の各所にて設置物の展示を実施予定
・2025年11月末〜12月 展示終了・解体予定
・プロジェクトディレクター いわさわ たかし
・プロジェクトマネージャー 米林 ジョイ、両見 英世
・プロジェクトコーディネーター 胡 听雨