パラレルワールド
不在と存在のあいだに――都市の裂け目(パラレルワールドワークショップレポート)
2025.08.28
2025年8月10日、千葉国際芸術祭の公募アーティスト・沼田侑香さんが、千葉都市モノレール県庁前駅を舞台に「日常のバグ」をテーマとしたワークショップを企画・実施しました。本企画は、普段使われない駅ホームをパラレルワールドのプラットフォームへと転換し、現実と虚構のあいだに広がる視覚体験型のインスタレーションを創出する試みです。私たちは沼田さんの案内に従い、都市の中で忘れられたその“裂け目”へと足を踏み入れました。
この日、さまざまな背景を持つ20名の参加者が千葉都市モノレールの県庁前駅の改札口に集まりました。参加者の中には、モノレール愛好家や沼田さんの創作活動に関心を持っているアートファン、千葉に深い愛着を持ち、自発的に参加した地元市民など、多様な人々が含まれていました。
全員が集合した後、普段は閉ざされたままの扉を開け、立ち入ることのできないホームへと進みました。その瞬間、まるで別世界への入口に足を踏み入れたかのような感覚に包まれました。
沼田さんは参加者を三つのグループに分け、日常の「列車待ち」の姿勢を再現させます。スマートフォンを覗き込む人、列車の到着を見上げる人――かつて静かなホームは、再び人の存在を宿し、時間の温度と生命の気配に満たされていきました。

アーティストはホームの反対側から、虚構の乗客と現実の風景が交錯する瞬間をカメラで捉えます。撮影されたイメージはモザイク処理を施し、等身大パネルとして会期中にこのホームで展示されます。特殊な印刷によって、観客の視点や角度によって像は浮かび上がったり、消えたりする――まるで虚空に溶けるかのように。これらのパネルは、存在と不在、現実と虚構のあわいに潜む微妙な境界への感覚を呼び覚まします。

さらに当日、市長やモノレールの公式キャラクター「モノちゃん」もサプライズで登場し、参加者とともにこの虚実入り混じる舞台で、現実を超えた出会いを果たしました。沼田さんの作品は、視覚装置と身体的参加を通じて、都市に潜む「見過ごされた隙間」を再び活性化させ、都市空間に隠された時間層や物語の潜在力に気づかせていきます。
完成作品は2025年9月19日から11月24日まで、本芸術祭にて展示します。そこには、かつて存在しなかったのに、どこかでずっと存在していたかのような――都市の幻影が立ち現れることになります。

執筆:黄志逍(千葉国際芸術祭2025アートプロジェクトコーディネーター )