マシャ・トラヴリアニン
ましゃ とらゔりあにん

参加型の構造や視覚的なパターンを通じて、物語を紡ぐ作品を展開している。
体験型のインスタレーションでは、鑑賞者が能動的に関与し、作品の一部となる。作品の意味は固定されず、メディアと鑑賞者のあいだに生まれる継続的な相互作用によって変化していき、対話を生み出している。こうした実践は、儀式や伝統から着想を得た要素を、現代のデジタルアートとして再構築することで生まれている。
土は繰り返し扱ってきた素材のひとつであり、「借りて、返す」ものとして位置づけている。地に足をつける力を象徴するとともに、平等化の媒体であり、身体とのつながりを示す素材でもある。
絵画作品では、壁紙をキャンバスとして用い、加工した家族写真を壁紙に描かれた伝統的な装飾に重ねている。壁紙の持つ親しみやすさと繰り返しのパターンによって、作品は流動的な性質を帯びている。反復が意味をどのように変容させるのかを探る試みでもある。こうした絵画は、1990年代のボスニア内戦以前の生活を想像しながら、戦争の遺産や現在の社会的文脈を映し出している。