加藤 翼
かとう つばさ

パフォーマンス、構造物、映像を軸に、他者との協働やグループによる共同実践を通じて活動を展開している。代表作《Pull and Raise/Topple》シリーズでは、巨大な構造物を大勢の力で動かす行為を通じて、社会的な緊張や協力のダイナミクスを可視化する。
震災後の福島、アメリカ・スタンディングロック居留地、マレーシアの無国籍コミュニティなど、複雑な歴史や政治的背景をもつ土地においてプロジェクトを実施。また、韓国と日本の間にある無人島でのパフォーマンスなどを通じ、地政学的な境界、移動、帰属といったテーマに取り組んでいる。
2017年にシアトルで始動した《Songs While Bound》シリーズ(互いに縛られたミュージシャンたちによる国歌の演奏)や、パンデミック下の香港での《Superstring Secrets》(無数の秘密が書かれた紙をシュレッダーにかけ、その紙紐で巨大な縄を編む)など、音楽や言語を媒介に国家、記憶、監視といった主題に接近し、個人と社会との関係を問い直している。
東京オペラシティ アートギャラリーでの個展をはじめ、ウォーターミル・センター(ニューヨーク)、ハンブルガー・バーンホフ現代美術館(ベルリン)、あいちトリエンナーレ2019(愛知)、ジュ・ド・ポーム国立美術館(パリ)などで、協働やアイデンティティの再構築を促すインスタレーションを国際的に発表している。