千葉県こども病院
千葉県こども病院は、県内小児医療の中枢的役割を果たすため、一般医療機関では対応が困難な特殊で高度な専門的医療を必要とする小児の診断・治療およびそれに付随する相談及び指導を行う小児総合医療施設として開設されました。(公式ウェブサイトより)
※千葉国際芸術祭2025では、病院患者・関係者向けの企画を展開。会場での作品公開はありません。作品鑑賞目的での来訪はご遠慮ください。
住所 千葉県千葉市緑区辺田町579-1
アクセス JR外房線鎌取駅下車 徒歩約25分
※千葉国際芸術祭2025についてのお問い合わせは芸術祭専用お問い合わせ窓口からお願いします。各施設・拠点へのお問い合わせはお控えください。
この拠点のプロジェクト
おともといっしょ
その他のエリア
本プロジェクトは、千葉市緑区にある千葉県こども病院を舞台に、アートを通じて癒しと交流の機会を創出することを目的としている。長期入院を余儀なくされている子どもたちはもちろん、不安を抱えながら付き添うご家族や、日々緊張感の中で働く医師・看護師など、病院という空間で日常を過ごすすべての人々に向けて、心の安らぎと自己表現の場を届けることを目指す。
2024年度はそのプレ企画として、まず病院スタッフを対象にワークショップを実施。編み物や縫い物といったクリエイティブな体験と対話を通して、スタッフの現状や思いに耳を傾け、今後の方向性を探るためのイントロダクションとして位置付けた。
2025年度は、キュレーターおよび協力アーティストを迎え、病院の特性に寄り添いながら、現場の声を反映したワークショップや展示を展開していく予定。芸術祭の集中発表・展示期間(2025年9月〜11月)にとらわれず、病院や患者の状況に応じて柔軟に実施する。
中心となる活動は、医療現場で使われてきた「キワニスドール」をベースに制作されたドールを活用したアートワーク。子どもたちは、用意されたドールに布を貼ったり色を塗ったりすることで、世界にひとつだけの“分身”を創作する。さらに、そのドールを主人公に見立てて「自宅に帰る」「院内を探検する」「おつかいにいってもらう」といったシーンを写真に収め、子どもたちと共有することで、病室にいながらにして他者の体験を“追体験”できるようなプログラムを構想している。
針などの使用は避け、「貼る」「塗る」といった安全性に配慮した表現方法を中心に計画。また、滅菌環境下での制限や患者ごとの体調にも細やかに対応するため、病院側と綿密に連携しながら、実施の可否や時期を慎重に検討していく。このプロジェクトは、アートを通じて人と人との関係性をつなぎ育み、孤立や不安にそっと寄り添う存在として捉え直す試みでもある。

今昔絵有動物借景
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「今昔絵有動物借景(こんじゃくえーあーるどうぶつしゃっけい)」は、スマートフォンを活用したAR(拡張現実)体験が主となるプロジェクトである。千葉市動物公園を舞台に、往時に生きていたと考えられる動物と想像上の生物を、XR技術を使用して展示する。本展示では、古画に描かれた空想上の動物や、絶滅した動物を題材とした特別なカード制作を行う。
千葉市美術館所蔵のデジタルデータを活用し、江戸時代の浮世絵に描かれた幻の獣たち、通常は目にすることのできない「見えない動物」たちのカードをスマートフォンで読み取ることで、動物が画面上に現れ、まるで現実世界に存在するかのように感じられる体験を提供。
千葉市動物公園の動物科学館では絶滅危惧種の展示が行われており、本企画はこの既存展示と連携することで、過去・現在・未来の生命について考える機会の提供を行う。過去と現在、想像と現実を繋ぐこの企画により、来園者は新たな視点で生命の多様性と芸術の可能性を体感できる。千葉市の文化的資産を活用し、歴史ある美術資料と動物に関する展示と最新デジタル技術の融合を目指す。
【市民参加のかたち】ワークショップ参加/展示鑑賞

STATION to STATION
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スロー・アート・コレクティブの作品は、つねにその場所と対話して、既存の街や建築空間と共生する形で竹やパイプなどで可変的な仮設体を設置し、そこを街の人々が集まる場所にすることを目指している。ひもという自由な素材を各々が竹に編み込んだり、結んだりしてだんだんと大きな編み物建築ができてくる。また風や太陽の力を活かした装置と組み合わせながら、街の音や風を見たり聞いたりできるしかけも組み込む。常に即興性を重視して日常素材を使いながら、異次元的な非日常空間を創り出していく。
これまで東京やメルボルン、クイーンズランドなど多様な環境で展開されてきたこれらの作品は、場所ごとに様々な異なる意味や価値を生み出してきた。東京では大きなアート神社のような空間ができ、メルボルン郊外では地域のトルコ人移民の家族が自分たちの結びの文化を継承し合う場所として機能し、クイーンズランドの小さな田舎町では出歩かない住民のいこいの場となり待ち合わせの場となった。こうした多様な体験が生まれる背景には、参加者自身が一本の紐を自由に結び合うことで作品の一部となり、空間と時間を共有するプロセスがあるからである。
ある小学校での長期プロジェクトでは、子どもたちが「これほどクラスメートと深い対話を交わしたことは初めてだった。友達とすごく仲良くなった」と口をそろえた。無理な会話をする必要もなく、ただ共に場を共有してなにかをすることが、ゆるやかに心を開くことにつながったという。
「スローアート」は地域社会とのつながりのなかで共に作り、遊ぶことで、作品になっていく。それは、どこの場所でどんな人たちと実践されるかで結果は日々変容するものでもある。本プロジェクトでは、千葉の地域と連携し、千葉国際芸術祭2025の理念と共鳴しながら、新たな創造と出会いの喜びの場を千葉市の中に創出させるプロジェクトを展開する。
【市民参加のかたち】ワークショップ参加/制作参加/展示鑑賞
