サイモン・ウェッテム
さいもん・うぇってむ

2005年から、パフォーマンスや作曲、インスタレーション作品の中で、音を創造的に扱ってきた。音を、場所を探る手段として用いてきた。そこにある特徴的な音や隠された音を聴くには、じっくりと耳を澄ませる必要がある。そうした体験を通して、場所が持つ物理的、社会的、心理的な側面に触れることができる。
近年は、消費社会や使い捨て文化と結びついた素材の特性や質感にも関心を持ち、探究を続けている。
音の力で物体を動かし、さまざまな素材を通して音を響かせたり、変化させたりする。また、天候や故障した機器など、予測できないアナログの仕組みをあえて取り入れ、自分だけでは制御できない環境や偶然との協働を楽しんでいる。
すでに使われなくなった技術にも焦点を当て、その再利用や活用の可能性を探るとともに、なぜ廃れてしまったのか、どんな資源が使われていたのか、そしてリサイクルにまつわる希望や文化的な意味についても考察を深めている。
こうした実践は、滞在制作やワークショップの開催、パフォーマンスや展示を通じて展開している。とくに、芸術に触れる機会が限られている人々と関わることに大きな喜びを感じている。そのプロセスの中で生まれる文化的交流こそが、自身にとっても大きな学びと成長につながっている。