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パラレルワールド

アーティスト
沼田 侑香

>>9/19-11/24 展示情報はこちら

本プロジェクトは、「日常のバグ」をテーマにした視覚体験型インスタレーションである。千葉都市モノレールの終点である県庁前駅は都市計画の最盛期に様々な問題で駅の延長を断念し、現在では使われていないホームが存在する。このような街の空白をパラレルワールド的な並行世界として存在する場所として仮定し、インスタレーション形式で再構成する。鑑賞者は普段目を向けない空間に潜む「現実の不具合」に気づき、作品を通して自らの都市認識を問い直す機会を得る。作品の中では使用されていないホームで、来るはずのないモノレールを待つ人々を作り上げる。この人々は事前に募集をかけた市民に実際にホームに立ってもらい、撮影する予定である。現実に存在する人間たちをモチーフにするのも、もう一つの世界線であるパラレルワールドを示唆させるきっかけとなるのではないだろうか。作品内では角度によって像が変化するレンチキュラーパネルの構造を用い、人の存在が角度によって消えるような細工を仕掛ける。社会的には非実用的となった建築空間の再認識と、手つかずの空間による都市の衰退という課題に光を当てることを目的とする。場所の利用者や訪問者に、日常に紛れた非日常を体験してもらうことで、都市と記憶の再接続を目指す。

【市民参加のかたち】展示鑑賞/被写体としての参加

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スケジュール

2025年7月
•清掃
•ライティングの確認
•ボランティア募集ポスター

2025年8月
•第1回視察(8/5〜9のどこか)
•第2回視察(8/10〜17のどこか)
•ボランティアさん撮影(8/10〜17のどこか)

2025年9月(展示期間:9/19〜11/24)
・作品搬入: 9/16予定(仮)、予備日17.18日

このプロジェクトのイベント・展示

このプロジェクトのレポート・コラム

不在と存在のあいだに――都市の裂け目(パラレルワールドワークショップレポート)

パラレルワールド
2025年8月10日、千葉国際芸術祭の公募アーティスト・沼田侑香さんが、千葉都市モノレール県庁前駅を舞台に「日常のバグ」をテーマとしたワークショップを企画・実施しました。本企画は、普段使われない駅ホームをパラレルワールドのプラットフォームへと転換し、現実と虚構のあいだに広がる視覚体験型のインスタレーションを創出する試みです。私たちは沼田さんの案内に従い、都市の中で忘れられたその“裂け目”へと足を踏み入れました。 この日、さまざまな背景を持つ20名の参加者が千葉都市モノレールの県庁前駅の改札口に集まりました。参加者の中には、モノレール愛好家や沼田さんの創作活動に関心を持っているアートファン、千葉に深い愛着を持ち、自発的に参加した地元市民など、多様な人々が含まれていました。 全員が集合した後、普段は閉ざされたままの扉を開け、立ち入ることのできないホームへと進みました。その瞬間、まるで別世界への入口に足を踏み入れたかのような感覚に包まれました。 沼田さんは参加者を三つのグループに分け、日常の「列車待ち」の姿勢を再現させます。スマートフォンを覗き込む人、列車の到着を見上げる人――かつて静かなホームは、再び人の存在を宿し、時間の温度と生命の気配に満たされていきました。 アーティストはホームの反対側から、虚構の乗客と現実の風景が交錯する瞬間をカメラで捉えます。撮影されたイメージはモザイク処理を施し、等身大パネルとして会期中にこのホームで展示されます。特殊な印刷によって、観客の視点や角度によって像は浮かび上がったり、消えたりする――まるで虚空に溶けるかのように。これらのパネルは、存在と不在、現実と虚構のあわいに潜む微妙な境界への感覚を呼び覚まします。 さらに当日、市長やモノレールの公式キャラクター「モノちゃん」もサプライズで登場し、参加者とともにこの虚実入り混じる舞台で、現実を超えた出会いを果たしました。沼田さんの作品は、視覚装置と身体的参加を通じて、都市に潜む「見過ごされた隙間」を再び活性化させ、都市空間に隠された時間層や物語の潜在力に気づかせていきます。 完成作品は2025年9月19日から11月24日まで、本芸術祭にて展示します。そこには、かつて存在しなかったのに、どこかでずっと存在していたかのような――都市の幻影が立ち現れることになります。 執筆:黄志逍(千葉国際芸術祭2025アートプロジェクトコーディネーター )
パラレルワールド