まちばのまちばり
まちばのまちばり 第7回ワークショップ「よごれた人」開催レポート
2025.07.18
2025年7月5日(土)、西尾美也によるアートプロジェクト「まちばのまちばり」では第7回目のワークショップを行いました。
今回のテーマは「よごれた人」。
10名の参加者が、思い思いのやり方で服をよごし、そのよごれが消えないように保存するには?を考えながら、デザインに落とし込むということにチャレンジしました。
まずは「服をよごす」という工程からスタートです。
普段の生活でも、ついつい服をよごしてしまうことってありますよね。
そんなとき、みなさんはどんな気持ちになりますか?「なにやってんの…」と自分を責めたり、「お気に入りの服に限って…」と悔しい思いをしたり。
一方で、大切な誰かがつけたよごれや、懸命に仕事をしたあとのよごれには、愛おしさや誇りを感じることもあるかもしれません。


参加者のみなさんの服のよごし方も、まさに十人十色。
夢中で絵を描いていたら袖がよごれているのに気づかなかった
掃除していたらいつの間にか服が真っ黒
溶けたアイスがポタポタと…など。
よごし方の選択にも、きっと各々の生活様式や過去の記憶に紐づいたエピソードが詰まっているのでしょうね。
それにしても、オフィシャルに服をよごしていいなんて滅多にできない体験だからでしょうか、みなさん心の底から楽しんでいる様子でした。



思う存分に服をよごしたところで、そのよごれをどう保存、定着させるかを西尾さんに相談します。
この面談の時間が、「まちばのまちばり」のキーポイント。
例えば、ペンキでよごした人にはペンキの色と同じ色の糸を使って刺繍をする、絵を描いていてよごれた人には、描いた絵をそのまま服のどこかに転写してみる、目立たないよごれを探すクイズを出したいという人には、それならウソのよごれもつけて混乱させちゃおう、など、西尾さんから出てくる思いもよらない提案が、みんなの思考をいい具合にかき回してくれます。

西尾さんとの面談を終えたら、完成まで一気に駆け抜けます。
今回はミシンだけでなく、刺繍や手縫い、絞り、版画などバラエティ豊かな手法が飛び出しました。
みなさん自分の作品だけでなく、他の参加者の作品にも興味津々で、
「どうやってよごしたの?」
「どんな風に保存するの?」
と、自然に会話も盛り上がります。


ワイワイおしゃべりしながら制作に没頭する様子は、まるでお祭りの準備を楽しむかのよう。
出来上がった作品を自分で身につけ、写真撮影をしてワークショップは終了です。
みなさん本当におつかれさまでした!

最後に西尾さんから、このワークショップを通じて「よごれ」をポジティブに捉えられるようになるといいですね、というお話がありました。
よごれがこんなにも素敵なデザインに変身するなら、服をよごすことが怖くなくなるかも!
そう思えてしまうほど、みなさんの作品はどれも個性的で魅力に溢れていました。
執筆:上原理恵(千葉国際芸術祭2025アートプロジェクトコーディネーター )