まちばのまちばり
まちばのまちばり 第9回ワークショップ「ボタンの人」開催レポート
2025.09.01
2025年8月2日(土)、西尾美也によるアートプロジェクト「まちばのまちばり」では第9回目のワークショップを行いました。
今回のテーマは「ボタンの人」。
条件は「ボタンが30個ついた服」をつくること。
前回の「ファスナーの人」同様、なぜそこにボタンがあるのか、そこにボタンがあることで服はどうなるのか、ストーリーや仕組みについてじっくり考えることが求められます。

連日厳しい暑さが続く中ではありましたが、今回も子どもから大人まで9名の方が集まってくれました。
いつも通り、ワークショップの冒頭に、西尾さんからボタンのさまざまな使い道についてお話がありました。
ボタンをつけることで服のかたちが変化したり、ボタンがぶつかり合うことで音が鳴る仕組みを考えたり。
目からウロコのアイデアがいくつも提示され、ボタンはただ何かを留めるためだけの道具ではない、ということがここでまずインプットされました。

ベースとなる服を選び、ボタンのアイデアが固まったところで、まちばのまちばり恒例「面談タイム」へ。
各自アイデアを西尾さんにプレゼンし、その服がより面白く、魅力的になるにはどうすればよいかを相談します。
30個というとなかなかの数なので、みなさんアイデア出しに苦戦するかと思いきや、早々に面談待ちの列ができていました。
同じ条件にも関わらず、どれも全く違っていて、興味深いアイデアばかり。
中にはなんと、中学卒業時にもらった本物の「第二ボタン」を持って来た方も!
彼女が頭に描いたのは、第二ボタンの他にも自分や家族の思い出が詰まったボタンを使って、人生を1枚のシャツに表現するという壮大なプロジェクト。
心が震えました。
服は、「身につける」という意味では誰にとっても一番身近で、だからこそ着ていた人の痕跡やストーリーが色濃く残っています。
服はアートだということを、改めて感じさせてくれるアイデアでした。


ボタンをつけるということは、当然ながらそれを受ける側である「ボタンホール」も必要です。
ミシンでつくることもできますが、今回は既製服からボタンホールを周りの生地ごと切り取って移植するという、まちばのまちばりならではの方法も提案しました。
これならミシンも不要で、ベースの服に異なる柄の生地を組み合わせることでパッチワークのような豊かな表情が生まれます。


「もうボタン見るのも嫌になりそう〜笑」という声がチラホラ聞こえ始めた頃、全員の「ボタンが30個ついた服」が完成しました。
仕上がった服を着て、恒例の写真撮影です。
今回ものっけからエンジン全開だった参加者のみなさん、達成感と安堵感に満ちたいい表情ですね。
本当におつかれさまでした!


これまでボタンは開いている部分を留めるためのものという認識しかなかったけれど、ボタンによって服のかたちや着方を変えることができるし、物語や音楽という表現のツールにもなり得るなど、みなさんさまざまな発見があったようです。
最後に西尾さんが、ボタンとボタンホールは点と点だからこそ、そこに新たな関係性が生まれる、と語ってくださいました。
さらには、自分の手が届かない場所にボタンがついた服の場合、誰かに留めてもらうしかなく、そこに人と人とのコミュニケーションが生まれるということはこのワークショップでの発見だった、とも。
ボタンの奥深さに驚くとともに、無限の可能性を感じたワークショップでした。
執筆:上原理恵(千葉国際芸術祭2025アートプロジェクトコーディネーター)