まちばのまちばり
まちばのまちばり 第12回ワークショップ「カーテンの人」開催レポート
2025.12.04
2025年10月11日(土)、西尾美也によるアートプロジェクト「まちばのまちばり」では第12回目のワークショップを行いました。
今回のテーマは「カーテンの人」。
古着を使って、カーテンの機能、もしくはカーテンの概念を備えた服をつくるというのが今回のミッションです。
服が自分の内側と外側を分けるものだとしたら、カーテンも家の内側と外側を分けるもの、つまりそれは内と外の境界としての役割があると言えます。
参加者のみなさんは、まず「あなたにとってカーテンとは?」をじっくり考え、自分なりの「カーテン考」をデザインに落とし込んでいきます。

どんな内と外を隔てる?
どんな記憶を持ったカーテン?
カーテンを着るとどうなる?
移動するカーテンという考え方もあり?
服と家の関係を考えてみると?
これまでのワークショップの中でも、テーマの本質を捉えることが一段と求められる内容となっています。
参加者は子どもから大人まで8名。
全員、既に何度か参加されている、まちばのまちばりの常連さんです。
今回も「まちまちいちば」で開催予定だったのですが、生憎の悪天候により西千葉工作室での開催となりました。
カーテンについてあれやこれや考えを深めながらも、今までとは異なる思考のベクトルが、新たなワクワク感をもたらしている様子。
そしてアイデアがある程度固まったら、恒例の「面談タイム」です。
全員が同じテーマについて考えたはずなのに、カーテンの解釈は面白いほどバラバラ。

自分にとっての「カーテン」はお母さんのスカート。だから大きな布でくるまれるような安心感を表現したい。
服は自分と空を隔てるカーテン。だったら、その空を纏ってみたらどうなる?
試着室のカーテンという機能を持たせた服をつくりたい。
窓を開けた時にカーテンがゆらゆら揺れるのが好きだから、その光景をデザインに取り入れたい。
西尾さんのアドバイスによって、自分では思いつかないような斜め上のアイデアに驚かされたり、モヤモヤした状態からサーっと霧が晴れたり、「いいですね!」の一言にぐっと背中を押されたり。
このやりとりが完成形の行方を左右すると言っても過言ではありません。今回のように出だしから深い洞察が要求されるテーマであっても、服づくりのフェーズに入るときには誰もが自信を持って挑める、これこそがこのワークショップの真髄なのです。




制作の時間は、どういうわけかこれまでのワークショップの中でもとりわけ余裕が見られ、穏やかな時間が流れていました。
西尾さんやファシリテーターを含め、そこにいる全員のコミュニケーションもとても活発で、お互いに刺激を与え合う雰囲気はとても心地のよいものでした。
最初に「カーテンとは」について思う存分思考を巡らせたからでしょうか。
みなさん自分の作品をしっかり言語化できているからこそ、誰かに伝えたい!という気持ちが芽生えたのかもしれませんね。
その姿勢がまさにテーラー然としていて、一瞬会場がテーラーたちの仕事場に見えるくらい、熱のこもった、よい空気感に包まれていました。
ワークショップの最後、西尾さんからは、今日は本当に難しいテーマだったにも関わらず、みんなが自信を持ってやり切った!という手応えを感じたという感想を頂きました。
時に笑顔と余裕を見せながらも、これまでにない服づくりに真摯に挑む姿はテーラーとしての自信の証。
そして本当の自信は、相手への敬意にも繋がります。
自分の軸を持ち、互いをリスペクトし合う、最強のテーラー集団がここに完成しつつあります。

執筆:上原理恵(千葉国際芸術祭2025アートプロジェクトコーディネーター )