まちばのまちばり
まちばのまちばり 第13回ワークショップ「ペットの人」開催レポート
2025.12.04
2025年10月18日(土)、西尾美也によるアートプロジェクト「まちばのまちばり」では第13回目のワークショップを行いました。
今回のテーマは「ペットの人」。
ペットは動物である場合がほとんどですが、単なる動物という括りでは言い表せないほど、自分にとって特別な存在であったり、愛でる対象でもあります。
ペットを飼っている人もそうでない人も、思い入れのある動物やモノに着せる服をつくってみよう、というのが今回のミッションです。
「人間じゃないものが身につける服」を考えるとき、一体どんな視点を持って制作に臨めば良いのか。
ワークショップの冒頭、西尾さんは犬の服を例に、まずはその動物やモノの特徴をしっかりつかみ、彼らが快適に過ごせるようにするにはどんなかたちやデザインがふさわしいか、どんな機能があると良いかを考えてみましょう、そして「自分」と「自分じゃないもの」の関係性にも目を向けてみましょう、というお話をしてくださいました。

参加者は初めての方から常連の方まで10名、うち4名が小学生という、多世代が入り混じる構成となりました。
まちばのまちばりワークショップでは、ほぼ毎回必ず小学生の子どもたちも参加してくれていて、
彼らの自由な発想に大人がハッとさせられたり、大人からのアドバイスを子どもが柔軟に取り入れてみたり。
年齢関係なく、お互いのアイディアから影響を受け合う場面をたくさん見てきました。
そんな「〇〇の人」ワークショップも、今回がいよいよ最終回となります。
(残すは、まちまちテーラー認定のためのワークショップ「オーダーメイドの人」のみ)



中盤には、恒例の西尾さんとの面談タイム。
皆さんからは早々に面白いアイディアが飛び出しました。
大切なペットのカメのための服
いつか飼ってみたいカメレオンのための服
シマウマってもしかしたら派手な色の服着てみたいんじゃない?という妄想からつくる服
ユニコーンの服(街なかにいてもツノが目立たないようにカモフラージュする)
巨大な勾玉に出会ったときに着せるための服
など、実在の動物だけでなく架空の動物から愛してやまない石まで、皆さんの「ペット」への思いが溢れました。

この日は秋晴れの創作日和。
「まちまちいちば」は、やわらかな陽光が差し込む心地よいアトリエと化しました。
皆さん和やかにおしゃべりをしたり、時には黙々と手を動かしたり、それぞれのペースで制作を進めていきます。
アトリエを埋め尽くす100着以上の作品を見上げながら、これまでのワークショップの光景を思い返しました。
一着一着の服に宿るストーリーは、平易な言葉で語れるものなどひとつもありません。
着ること、装うことは、その服を着る「人」を映し出しますが、つくることだってきっと同じ。
つくっている時の表情、背中、手つき、作品に込められた思い、そして冒頭のアイディア出しから面談を経て作品が仕上がっていく全ての道のり。
つくるということは、足跡を残すことでもあります。
13回にわたる「〇〇の人」で皆さんが残した足跡を、もう一度ひとつひとつ丁寧に辿ってみようと思いました。




陽の落ち始めたアトリエには、とてもユニークな「ペットのための服」が揃い始めました。
完成後、各自つくった服を着て向かいの公園に繰り出します。
ペットの服だからでしょうか、公園との相性は抜群です。
そして、最後の記念撮影。
自分のペットや飼ってみたい動物、愛おしいモノへの思いを存分に表現し切った皆さんの顔は、とても優しくて誇らしげでした。




今年の2月から始まった、まちばのまちばり「〇〇の人」ワークショップ。
これまでご参加くださった全ての方へ、感謝の気持ちと「おつかれさま!」の言葉を贈ります。
まちばのまちばりの自由な服づくりを通して、さまざまな問いが生まれたのではないでしょうか。
服ってそもそもなんだろう?
自分はどんな服が着たいんだろう?
なぜ人はものをつくるんだろう?
上手につくらないとダメなの?
答えは風の中です。
ここで過ごした豊かな時間が、皆さんの日々の暮らしを彩る一助となりますように。

執筆:上原理恵(千葉国際芸術祭2025アートプロジェクトコーディネーター )
写真:池ノ谷(ゆかい)