千葉国際芸術祭実行委員会
まちばのまちばり 「譲渡会」開催レポート
2026.02.04
千葉国際芸術祭2025最終日の2025年11月24日(月)、西尾美也によるアートプロジェクト「まちばのまちばり」の展示会場である「まちまちいちば」にて、展示作品の譲渡会を開催しました。
13回の通常ワークショップ「〇〇の人」に加え、「まちまちテーラー」認定のための特別ワークショップ「オーダーメイドの人」、そしておよそ2ヶ月にわたる千葉国際芸術祭の本会期中、「まちまちテーラー」たちによって会場で制作された、合計約160着に及ぶユニークな服たちの中から、来場者の皆さんにお気に入りの一着を選んで持ち帰って頂きました。

10時のオープンを前に、会場の「まちまちいちば」の前には少しずつお客さんの姿が見え始めました。
これまで何度か足を運んでくださった方、ご近所の方、ボランティアで携わってくださった方、遠方からわざわざ来てくださった方など、本当にたくさんの方がお目当ての服を求めて「まちまちいちば」へと駆けつけてくれました。
自分のお気に入りや一緒に来場した相手に似合いそうな服を見つけては、試着をしたり写真を撮ったり。
この日の会場の雰囲気は、まさに市場!
世界中どこを探しても売られていないような、ユニークな一着を探す人々の活気に満ち溢れていました。


印象的だったのは、試着をして選んだ服を「このまま着て帰ります」という方の多かったこと。
ユニークな服に身を包んで会場を後にするみなさんは、笑顔なのはもちろんのこと、どこか堂々として自信ありげにも見えます。
そんなみなさんの姿を見て気づいたこと。
「好きな服を着ること」って、シンプルだし本当はとても大切なことなのに、意外と難しいのかも?
着る勇気が持てなかったり、周りからの視線が気になったりして、着たい服を諦めたことがある人は多いのではないでしょうか。
でも、着たい服を着ることはある種自己表現でもあり、それを楽しんでこそ価値がある。
彼らが堂々として見えたのは、見えない殻を破り、自由に自己表現を楽しんでいたからかもしれません。
誰の目も気にせず、自身の思い込みにも捉われず、開放的な気分でファッションを存分に楽しんでくれたなら。
そんな価値を生み出せたこともまた、このプロジェクトに携わった全ての人たちの誇りとなるでしょう。




「まちばのまちばり」の取り組みを通して、アーティストの西尾さんは常々こう仰っていました。
「ここでつくられた服を着た人々が街を歩いてくれたら素敵だな、そんな風景を見てみたいな」
その日、西千葉周辺や他の芸術祭会場ではユニークな服を着た人々が街を彩ってくれました。
9月19日から2ヶ月にわたって開催された千葉国際芸術祭2025本会期が閉幕し、「まちまちいちば」もその役目を終えました。
関わってくださった全ての皆さんに心から感謝申し上げます。
この芸術祭が、「日常」という土壌へ創造性の種を蒔き、人々の暮らしに豊かな彩りを与えてくれると信じています。


最後に、譲渡の際にいただいたコメントと、ワークショップに参加した方の声を一部紹介します。
【譲渡会で服を持ち帰った方】
・新しい自分に会えました。
・作者さんからバトンを受けたような気持ちです。大切にします。
・3年後にまた同じイベントがあったらこの服を着て来ます!!
・やわらかい白色に自然となじんでいる「よごれ」が、等身大のありのままの自分に共鳴しました。(よごれた人)
・この服でカモフラージュできる場所を探すのも楽しそうです!(カモフラージュの人)
・世界に一つのステキな服。色、デザイン、大好きです。
・この予定調和ではない巡り合い、アートの化学反応のように感じています。
・そっと背中を押してもらえるような、勇気をもらえそうで選びました。
・これから作品を着てちばげいを回りたいと思います。
・この作品を着て公園を歩いてみたいです。ふだんとは違う景色が見えるような気がします。

【ワークショップ参加者】
・他の人のアイデアが刺激的でした。
・服の概念がいい意味で壊れました。
・気軽に参加できて嬉しかったです。
・(ちょっとつくりかえればいいじゃん!という発見から)ファストファッションがより楽しめるようになりました。
・これからも着なくなった服のリメイクを続けようと思います。やりたいことができて嬉しい!
・本当に貴重な半年間でした。終わってしまうのが寂しいです。
・服づくりのハードルが下がったのが嬉しいです。

執筆:上原理恵(千葉国際芸術祭2025アートプロジェクトコーディネーター )
写真:ただ(ゆかい)